本書によると、1960年代まで「ヒトが太るのは炭水化物と砂糖を摂取しているから」というのは
世界の常識だったらしい。
本書では19世紀から20世紀中頃までのヨーロッパの論文を多数引用してそれを証明しているが、
それよりも雄弁に証明するのは、トルストイの小説『アンナ・カレーニナ』の登場人物が
「乗馬のレースの前日には体重を増やさないように肉だけを食べるようにして、パンを食べなかった」
という一節だ。
要するに、小説の中の登場人物の普通の会話の中にも「太るのは炭水化物。肉は太らない」が登場し、
それが当時のヨーロッパの常識中の常識だったことを示している。
そういえば、小林まことの傑作マンガ、『1、2の三四郎』の第9巻にも、プロレスラーになるために
体重を増やそうとする三四郎に向かってヒロインの志乃が「三食甘いものだけ食べていれば10キロなんて
簡単に太るわよ」というシーンがあったが、このマンガが少年マガジンに連載されたのは1980年だったから、
やはり当時の日本では「甘いもの(=糖質)を食べるから太る」というのは社会の常識だったのだ。
それがいつの間にか、「消費するカロリー以上のカロリーを食べるから太る。運動しないから太る」
というのが常識になり、ダイエットといえばまず最初にカロリー制限と脂肪摂取制限であり、
脂肪に比べたら糖質(炭水化物)についてはうるさく言わない世の中になった。
これは一体どういうことなのだろうか。
ヒトはなぜ太るのか?(ゲーリー・トーベス,メディカルトリビューン)
http://www.wound-treatment.jp/next/dokusyo/194.ht...
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