●年齢調整死亡率とは何か?
がんの統計データを解釈する際にとても大事なのは、年齢による影響を補正することです。
がんの発生というのは年齢に大きく影響されます。
以下の国立がんセンターのデータを見てもらうとわかるかと思います。
このデータは各世代のがんを発症する割合を示しています。
30代の人と80代の人ではがんになる割合が何千倍も違います。
そのため、高齢者と若年者の割合が違う集団を比較する際には、必ず同じ年齢構成であるように補正をしないといけません。
例えば、若い人しか働いていない会社の1000人と、老人ホームに入っている1000人の、がん死亡率を比較したとします。
会社の方は、がん発症者は2人、死亡者が1人であるのに対して、老人ホームの方は、がん発症者が50人で、死亡者が15人だったとします。
この死亡数だけみると、老人ホームの方が15倍の死亡率です。
この二つを比較した時に、このデータをそのまま見て、この老人ホームがある地域のがん治療水準は著しく低いといえますか?
もちろん言えないです。
がんになる人が多い集団だと、がんで亡くなる人は増えますので、年齢を合わせた集団を比較しないと、
どちらの方が死亡率が低いのか、どちらの治療水準が高いかの比較ができません。
そこで行われるのが年齢調整死亡率を求めるという手法です。
細かな計算方法は省きますが、要は同じ年齢構成の集団になるように計算してから比較します。
返信する