この論文の主要執筆者のひとり、国立障害者リハビリテーションセンター病院で
臨床研究開発部部長をつとめる澤田泰宏さんが解説する。
「適度な運動が血圧を下げること自体は、たしかにこれまでもよく知られていました。
しかし、根拠をもってそのメカニズムを示した研究は、じつはほとんど存在していなかったのです。
私たちの論文は、その点、エビデンス(=証拠)とともに、
適度な運動が血圧を下げるメカニズムを明らかにするものとなりました。
今回、運動と血圧の関係が明らかになったことによって、
血圧を下げるためのより効果的な運動がどのようなものなのかが明確になってくると思います。
また、このメカニズムにもとづいて高血圧の方がよりモチベーション高く
運動をしてくれるようになることを強く期待しています」
●キーワードは「脳」と「衝撃」
よく知られているように、高血圧は心筋梗塞や脳卒中といった「死に至る病」につながる。
いってみれば「確実に寿命を縮める危険因子」(前出・伊賀瀬さん)である。
その「危険因子」が、運動によって取り除かれるメカニズムとは、どのようなものなのか。
この研究において注目すべきキーワードは意外なものだ。それは、「脳」と「衝撃」である。
「ごくシンプルに言えば、運動によって脳にくわわる物理的な衝撃が、
血圧を下げる効果をもっているということです」(前出・澤田さん)
どういうことか。澤田さんがつづける。
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