■ヒトの本性は肉食動物 (東京大学 農学生命科学研究科獣医生理学研究室教授 高橋 迪雄)
草食動物はバクテリアを発酵させるために、消化管のどこかが目立った変化を見せます。
そのような観点でヒトの消化管を見ると、ヒトの消化管はイヌやネコのそれと同様に際立った変形はなく、
肉食動物の特徴を備えています。
肉食動物は主としてたんぱく質を摂取し、そこからアミノ酸を得るとともに、
アミノ酸をエネルギー源としても使っています。
アミノ酸の末端に付いているアミノ基は、比較的容易に酵素の作用で外すことができます。
これが外されれば炭水化物になりますから、エネルギー源としても利用できるのです。
肉食動物の尿には多量の尿素が含まれていますが、これは、アミノ酸がエネルギー源としても使われているためで、
アミノ酸から外されたアミノ基は肝臓で毒性の低い尿素に換えられ、これが腎臓から排泄されています。
アミノ基が外された炭水化物は、最終的にはミトコンドリアで酸素によって酸化され、
ATPの形でエネルギーが取り出されます。
つまり、われわれの細胞にミトコンドリアが住み着いてくれているおかげで、
アミノ酸をエネルギー源として使うことは、きわめて容易なのです。
現代のヒトは、確かに植物性の食物をたくさん食べますが、生理学的には肉食動物に違いありません。
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