ニセ科学は、とくに健康をめぐる分野で蔓延しています。
病気の不安心理につけ込み、アトピーが治る、がんにならない、がんが治る、などと称して、
あたかも科学にもとづいているかのような雰囲気をまとっています。
体験談や仮説的な説明だけで、まるで科学的な根拠があるかのような怪しげな健康情報が、
テレビや新聞・雑誌などのメディアを通して、われわれの周囲に迫ってきます。
90歳になった私の母も、食事のときに「お前、本当に忙しいねえ。○○は△△にいいんですから食べなさい」などと言います。
何の科学的根拠もありませんが、息子の健康を心配しての言葉です。
どこでそんなことを耳にしたのかと訊いてみると、一番影響を与えているのがテレビのようです。
そういう健康情報が流布するときに、威力を発揮するのが「体験談」です。
新聞の折り込みチラシや雑誌の広告ページには、「○○のおかげで健康になりました」という体験談がたくさん載っています。
口コミで広まる健康情報も同様です。
しかし、体験談などいくらでも捏造できるのです。
捏造の体験談の健康本が摘発されたこともあります。
もし仮に体験談が本当だったとしても、本当にその食品で治ったかどうかははっきりしません。
他の原因で治ったのかもしれませんし、治っていない、あるいは悪化した人が多数いるかもしれません。
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