ちなみに人間のホルモンは100種類ほど認められていて、すべて体内で合成・分泌される。
そして血液などの体液を経由して全身に運ばれ、それぞれの情報が伝わることで
身体のさまざまな働きが調節される。
骨格筋由来のマイオカインは筋肉の代謝や増大に関わるだけでなく、
別の臓器へ作用してそれらの状態を調節したり、骨密度の増大を促す
メッセージを送ったりすると考えられている。
●マイオカインが「運動が身体にいい」を裏づける
「運動の効果が全身に及ぶ理由について、全身に運ばれるマイオカインの存在で
説明がつくのではないか。これを『マイオカイン仮説』としています」と話す藤井教授は、
これまでに、骨格筋細胞の運動に関係するマイオカインを数十種類発見している。
その代表的なもののひとつが「PDGF-B(platelet-derived growth factor-B)」。
もとは血液成分の血小板に含まれる成長因子(グロースフアクター)
(特定の細胞の増殖や分化を促すタンパク質の総称)として発見されたが、
筋肉にも存在していることがわかった。
骨格筋細胞の培養実験で「筋量と筋力を増強する作用」が確認されている。
また「RSPO3(R-spondin 3)」というマイオカインは、骨格筋細胞を疲れにくい
マラソンランナータイプに変化させる働きがあることがわかったそうだ。
その他の研究グループでは、神経細胞を活性化するというマイオカインや、
大腸がんを抑制するマイオカインも発見されているという。
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