さらに、遺伝的には、草食のチンパンジーが、糖分の多い食事を可能にするためにいくつかのゲノム領域を調節していたのに対し、
ヒトでは、脂肪分の多い食事、つまり肉食を可能にするために調節されていました。
研究主任のミキ・ベンドール氏は「こうしたデータを見ても、初期人類が200万年の間は肉食に特化して進化したことが分かる」と話します。
考古学的な点からすると、石器時代の遺跡に見つかる狩猟道具や大型動物の骨は、
当時の人々のスキルの高さや知識の豊富さを雄弁に物語っています。
ベンドール氏は「大型動物の狩猟は、暇つぶしではできません。それには多くの知識が必要で、
ライオンやハイエナも長い年月をかけて学習し、狩猟技術を身につけます。
また、ヒトが狩猟技術を発達させていた200万年の間に、大型動物が激減していることも見逃せません。
これらはヒトが肉食に特化していたことを示す何よりの証拠でしょう」と指摘します。
それから、植物性食品の採取や加工のためのツールが、石器時代の終わりに集中して見つかっていることも重要です。
人類の進化はこれまで、肉食と草食の柔軟な組み合わせに支えられたと考えられてきましたが、ここでは
「最初に肉食として進化し、その後に菜食を取り入れた」という新しい人類像が浮かび上がっています。
ヒトは進化の始めからバランスの取れた食事を考えていたのではなく、肉がなくなったから、
仕方なく野菜を食べ始めたのかもしれません。
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