愛煙家にとって「タバコが肺がんの原因である」という知識は不協和を引き起こす。
→これを低減するために最も好ましいのは「タバコをやめる」という認知要素の変更である。
→しかし愛煙家にとってそれは簡単ではない。
→そのため別の認知要素である「タバコが肺がんの原因である」を何とか始末しなければならない。
→そこで「タバコ有害論には欠陥がある」という情報を探したり、
「タバコ有害論は間違いだ」と根拠無く断言して、そのような情報を目にしないようにしたり、
「排気ガスの方がはるかに危険だ」と考えて要素の重要性を操作したり、
「愛煙家でも長生きしている人がいる」という新しい要素を付け加えたり、
「自分は適度な愛煙家であり、吸い過ぎてはいない」という認知的歪曲を行ったりする。
→それによって無意識のうちに不協和状態を低減させる。
堅固な信念を持っている人の心を変えるのはむずかしい。
もし「私はあなたとは意見が違う」などと言おうものなら、その人はそっぽを向いてしまうであろう。
その人に事実や数字を示したとしても、その出処に疑問を呈するだろう。
理論に訴えたとしても、その人は肝心な点を理解できないことであろう。
私達は誰でも、頑固な信念を変えさせようとして、無駄な骨折りをした経験があるものだ。
返信する