■一年問「肉だけ」を食べて過こしたら…?
1920年代に行なわれた、ある興味深い実験があります。
人問を被験者にした実験なので、厳しい倫理委員会がある現代では
とても再現不可能な実験なのですが、それだけに非常に貴重な実験結果と
なっています。
この実験には、30代と40代の男性2人が参加しました。
彼らに伝えられた指示はただ1つ、
「1年間、肉のみを食べよ」
という突拍子もないものでした。
この2人の被験者は、本当に一年以上肉だけを食べて生活したのですが、
彼らの体には、あるおもしろい変化が生まれました。
なんと、2人とも体重がおだやかに減少し、便通が改善したというのです。
さらに実験の期問中、彼らの精神状態は安定しており、健康状態にも何の問題も
ありませんでした。
わずかにビタミンCとカルシウムの減少が見られたものの、深刻な欠乏状態には
ほど遠いものだったようです。
そして、彼らの実験期問中の摂取カロリーは、平均して一日に約2500キロカロリー
以上という高いものでした。
これだけ高カロリーの食生活を送って、肉由来の脂をたくさん摂取していると、
動脈硬化が心配になりますね。
一般的に、肉や卵といったコレステロールを含む食材をたくさん食べると、
動脈にコレステロールが沈着し、動脈硬化を引き起こすと考えられています。
しかし、被験者2人には動脈硬化を疑う変化は、一切現れなかったそうです。
なぜ、高カロリーの肉しか食べていなかった人たちが、動脈硬化にならなかったの
でしようか?
答えは簡単です。
「肉や卵といった高コレステロールのものばかり食べていると、動脈硬化になる」
という通説の方がまちがっているのです。
この通説は、ウサギを使った、ある古い実験から導き出されたものです。
草食動物であるウサギに卵を食べさせ続けた結果、ウサギの血管にコレステロールが沈着し、
動脈硬化が起こった…。
大昔のこんな実験結果が、現在まで生き続けているのです。
しかし、消化や代謝の仕組みは、人問とウサギではまったく異なります。
そんな実験結果を人間に当てはめるのは、無理があります。
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