心臓ペースメーカーは、脈が乱れた際に、電気刺激を送って心臓が正常なリズムで脈打つ
のを助けるための医療器具だ。肩に植え込むタイプでは、本体に電池と電気回路が内蔵され、
リードを伝って心臓に電気刺激を送る。
平成7年ごろから急速に携帯電話が普及したことに伴い、ペースメーカーをはじめとした医療
機器への電波の影響が危惧(きぐ)されるようになった。その根拠としてあげられるのが、総務
省が出している「ペースメーカーと携帯電話の距離は22センチ離すべきだ」という指針だ。
実際に誤作動を起こした例はあったのか。
医薬品や医療機器の安全情報を収集している独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」
(東京)によると、携帯電話が医療機器に影響を及ぼした例はないという。危険性はないとは
言い切れないものの、極めて低いといえそうだ。
■不安ぬぐえず
ペースメーカーの開発にも携わる日本不整脈学会の豊島健さんは「アメリカやカナダなどの
ガイドラインは15センチ。私の知る限り、電車やバスなどの車内で使用制限を呼びかけている
国は日本だけではないか」と話すが、「実験では誤作動を起こすこともある。決して指針は絵
空事ではない」。
鉄道各社ではマナーの側面からも、車内での携帯電話の利用を控えるように呼びかけている
が、今でもペースメーカーの装着者から「優先席付近での利用マナーを徹底してほしい」という
声が寄せられるという。
日本不整脈デバイス工業会では、「安心と安全は違う。安全だといくら言っても、ペースメーカー
の装着者の方が安心して使えるようにならないといけない。誤作動を起こす可能性があるうちは、
指針は簡単には変えられないのではないでしょうか」と話している。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/100529/bdy1005291801...
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